プレミアム商品券と衆愚政治の選挙

読売新聞によれば、秋田市は、2015年度に発売したプレミアム商品券発行事業の経済波及効果が8億5千万円と推定されると発表したそうで、担当する商工貿易振興課は『まずまずよかったという感触』と評価しているらしい。
何が『まずまず』なのかよくわからないが、国の地方創生『地域消費喚起・生活支援型』交付金を活用し、総額25億2千万分を夏と冬に分けて販売したのだが、実際には25億1,644万円使用されたようで356万円は紙屑になってしまったのだろう。(勿体ない)
使用分に対する経済効果は8億5千万円/25億1,644万円で使用対比33.78%が経済効果である。
この30%強という数字は、過去の消費喚起策でもほぼ同様の数字が出ている。

みずほ総研の調査によれば1999年の地域振興券は給付総額6,194億円で15歳以下の子供1人につき2万円と老齢福祉年金の受給者に2万円というもので、使用対比32%という結果が出ている。
また、2009年の定額給付金は給付総額1兆9,367億円で18歳以下及び65歳以上の世帯構成者1人につき2万円、19歳以上64歳以下は1万2千円というもので、このときの使用(受取)総額比32.8%となっている。
要するにこういったばら撒きは商品券だろうと現金だろうと、経済効果は約30%というのが経験則でわかっていることだった。
プレミアム商品券による個人消費の押し上げ効果は、それによって新たな需要が喚起され且つその他の消費が減少しない分と考えられるが、普段購入するような食品や日用品を商品券で払い、そこで浮いた分を貯蓄に回してしまえば押し上げ効果はゼロとなる。
また、商品券で一時的に消費が喚起されたとしてもその後の反動減は避けられず、結局『需要の先食い』と『反動減』を均してみると消費全体を押し上げるものではなさそうだ。

1999年の地域振興券や2009年の定額給付金は言わば『該当者は黙っていてももらえる』ものだったが、今回のプレミアム商品券は『使う意欲のある人』が意識的に購入するもののため、消費の確実性は高かったはずだが、結局経済効果で見れば大差ない3割程度という同じような結果が出たことは興味深い。
ヘリコプター・マネーをどんなばら撒き方をしても経済効果は約3割。これが経験則として、さらに給付金や商品券の発行に関わる事務経費がどれくらいかかっているのかを考えると実際の経済効果は2割程度なのではないかとさえ思える。これではばら撒きによる所得再分配などとはおこがましい結果である。

山梨英和大学の後藤氏の調査によれば、プレミアム商品券の購入行動は、
・低所得層ほどプレミアム商品券を購入しない
・高所得層ほど最低希望プレミアム率(※)が低い
※12,000円分の商品券を10,000円で購入する場合、プレミアム率は20%
という結果が出ているそうで、『地域消費喚起・生活支援型』という低所得層向けの対策としては実は的外れだったことが明らかになっている。
もっとどーんと大きなヘリコプター・マネーのばら撒きでなければ効果は薄いことが再度明らかになったということだろう。

秋田市は国からの指示に従って商工会議所を使ってプレミアム商品券をあまり工夫も無くばら撒いて、『まずまず』でお仕舞にしているが、今後『反動減』の有無や税収増減といった効果を精密に検証する気などサラサラ無いだろう。
秋田市などは大型店舗や地元商店で使える使えないの2種類を発行し、地元商店保護をちょっとだけポーズとして見せたらしいが、既に商売というよりは趣味の領域に陥っているのではないかと思える地元商店をあくまで産業として扱い保護しようとするのは経済学でいう資源配分の歪みを助長するもので、植物状態の患者の延命措置と変わりない。

最近は政権の様々な施策が露骨に選挙向けに実施されていて、選挙前のあまりにも酷い衆愚政治と化していることがあまり問題にされず、その選挙の本番(参院選)を前に北海道5区と京都3区で補選が行われているが、北海道では自公に対して民共社生というトンデモ相乗りの女性候補が話題になっているようだ。候補者も政治家としての理念・信条は話せても下手な公約は訴えられないだろう。
しかし、旧民主党の支持母体であるはずの連合が『連携・支援強化』から民進党とは『連携を図る』に格下げすることになったことから組織票が怪しくなってきた。これは旧維新の党が官公労批判を繰り返してきたことによるとされるが、結局民進党も官公労の既得権益を守る側かそうでないかの踏み絵を突き付けられた格好で、連合はおそらく自主投票となることが予想され、選挙は自公の勝利(まあ僅差かもしれないが)に終わるだろう。
京都3区は、不倫問題の余波で自公から候補者無しという異常な選挙。チャンスをもらった候補者から見たら、さしずめ『ゲスの極み、ありがとう』選挙という具合の低次元の選挙である。
不倫問題などはあくまで宮崎謙介個人の問題であって、政党とは無関係のはずで堂々と候補者を立てるべきなのだが何故か遠慮ポピュリズムでございますと自公自ら宣言しているようなもので呆れてしまう。

歴史的な選挙となるはずの参院選の前哨戦とはいえ、こんな有権者を小馬鹿にした選挙も珍しい。
日本の政治状況は冗談ではないほど地に落ちている。憲法改正は必要だし千載一遇のチャンスではあるが、現安倍政権でなくともいいように少し思えてきた。

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プレミアム商品券と衆愚政治の選挙 への9件のフィードバック

  1. プレミアム商品券ですが、あまりの行列に嫌気がさして私は買いませんでしたが、買ったとしたら、どこの商店でも使える方だけ買って、イトクやイオンなどのスーパーマーケットで全部使用していると思います。地元にいると、曲げわっぱにもそれほど興味が持てず、買いたいと思いませんからね。でも食料品は必ず買わなきゃならない。どうしてもそうなる。

    京都の選挙ですが、候補者を出せない自民党にちょっと唖然としています。

    ちょっと前に、五体不満足の不倫問題がでましたが、噂では自民党から選挙候補者として考えられていて、その、なんて言ったけ、身辺調査を週刊誌に頼み、不倫が出てきたので、自分から公表することになったとか。それがもしかしたら京都だったんでしょうか? 確証はないですけど。

    でも、そうだったとしても、次の候補者を出せない自民党にも、情けなさを感じる今日このごろです。

  2. blogファンその1 より:

    プレミアム商品券、私の知り合いでは人に頼んで何十万円分とかき集めていたのもいました。
    20%は確かに大きいのでしょうが、結局スケールメリットが出せる奴は小金持ちという当たり前の現実で、つまんないなぁと思いました。

    正直言うと政治の話はあまり興味は無いのですが、安倍首相をとっちめていた民進党の山尾♀はあの号泣野々村と似たような疑惑だし、田母神は逮捕されるし、政治家も予備軍もロクでもないのが多すぎませんか。
    五体不満足は、えっ!? どうやって? という下衆の興味が反射的に湧いたのですが、不倫だってプラトニックなのもありなのかと善意(?)に解釈することにしました(笑)。
    でも1人ならまだしも5人でしたっけ? 恐れ入りました。

  3. hoco より:

    プレミアム商品券を上限いっぱい(10万円)まで買いました。
    何か購入しようにもネットの方が安いし、どう活用してくれようかと考えた結果、居酒屋に飲みに行って消費させていただきました(笑)
    普段入りづらかった店に安心して入ることができて新規開拓することができて良かったです。

  4. argusakita より:

    女性の時代とは言い古された言葉かもしれないが、結局は嘘つき、テキトーで男性政治屋と変わらんよという象徴的な写真。
    ふてぶてしい面構えになるのは政治屋の職業病か。
     
    呉越同舟

    • 茹で蛙 より:

      揃いもそろってというか、絵的には”みずほ”も欲しかったです(笑)。
      結局、こういう変に尖った女性ばかり目立つと逆に女性の社会進出に拒絶ムードを作ることになるんだと気付いて欲しいものです。

  5. 茹で蛙 より:

    北海道5区、微妙な選挙結果でした。
    自公が圧勝というわけでもないし、民共社生相乗りの選挙互助会も結局届かなかった。
    浮動層が大勢いるのが再確認できた自公、クズが束になっても逆効果とわかった相乗り組。

    これは、参院選で候補をダイゴに絞った秋田でも見直しがかかるかも(笑)。

    • argusakita より:

      接戦に見える投票結果でしたね。
      何が何でも安倍政権をstopさせたい勢力がいることだけは皆わかったということですかね。
      でも、その先は? というのが、あの烏合の衆からは出てこないでしょう。
      参院選はそこでしょうね。

  6. 茹で蛙 より:

    河北新報
    <参院選秋田>農政連、自主投票決定
    http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201604/20160426_41034.html

    自民党現職の石井浩郎氏(51)と民進党元議員の松浦大悟氏(46)から推薦依頼を受けて….自主投票

    そりゃ、どっちも応援できそうな候補じゃないですからね(笑)。
    賢明、賢明。

    さあ、県内農協の正準組合員13万6000人の票はどこに行くでしょうか。

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