会派政治ではなく、真っ当な政党政治を

欧州のいくつかの国では、難民・移民問題、地域独立問題、経済問題(主に格差)をきっかけに従来の政党の枠組みあるいは支持率の変化が顕著だ。
オーストリアでも先月の大統領選挙で長年(戦後ほぼ一貫して)政権を保持してきた連立与党(SPO:社民党+OeVP:国民党の左派+中道右派)が歴史的な大敗を喫し、勝ったのが反移民を掲げる極右のFPoE:自由党で、今月22日の決選投票はこの自由党のノルバート・ホーファー(Norbert Hofer)とGreens:緑の党のアレキサンダー・ファン・デア・ベレン(Alexander Van der Bellen)の両氏によって行われる見込みだ。しかし、どちらが大統領になっても議会の多数派は社民党+国民党のため議会との対立は明らかで安定政権の見込みは低くなる。
難民でも移民でもなく、仕事の拠点としてオーストリア・ウィーンを生活の一部にしている筆者や社員さん達としては外国人排斥に関する動向には神経を使っているが、この2人のどちらが大統領になってもあまり歓迎できないし、オフィスの近所とも親しく溶け込んできた努力は無にしたくはない。

オーストリアに限らず、難民・移民問題によって支持を伸ばしているのはドイツの右派AfD:ドイツのための選択肢フランスのFN:国民戦線などだが、単に難民・移民問題だけではなく、EU(という長期の社会実験)の体制そのものに対する不満が絡んできているため状況は複雑だ。さらに、スペインのカタルーニャ独立問題、イギリスのスコットランド独立問題では独立には賛成だがEUからの離脱は反対、あるいはその逆パターンなどがある。
これに加えて、フィンランド、オランダ、スイスで議論が盛り上がっている(フィンランドは2017年に実験開始)ベーシック・インカム(BI)の問題があり、欧州全体で単純に左派vs右派という図式ではなくなっている。
実態を知らず、左派メディアによってお花畑になっている日本の左巻きに人気の北欧でも、難民・移民排斥の動きは顕著で、スウェーデンの難民の資産(一定額以上の)没収法案やデンマークのある地方で今年初めに出された豚肉法案(イスラム流入の牽制になるため、学校給食に豚肉の使用を義務化といった法案)など注目を集めている。
しかし、デンマークは学校給食というのはさほど一般的ではないため、この話題は右派系のプロパガンダとも言われているが、ともあれ各国で右派系の動きが活発なのは現実だ。

先日、帰国した際に日本のメディア(ほぼ左派系)が流す欧州事情では、ドイツのPEGIDA(PEGIDAは今やドイツだけではない)やフランスの国民戦線についてはその単語もあまり使われないことやスペインの政権不在が半年にも及ぶことなどはほとんど解説しない。
スペインでは相変わらず左派連立が不調で今月3日に議会解散となった。昨年12月の総選挙で過半数を獲得した政党が無く、主要4政党が連立協議を続けたものの決裂し、6月26日に再選挙となった。総選挙を実施したところで、EUやIMFによる緊縮財政を跳ね返せる政権ができることは非現実的・期待薄で、再び混沌が待っているに違いない。
日本のメディアは各国で右派が台頭してきていることや左巻きは纏まらないという印象を避けたいのだろう。

日本では北海道の補欠選挙で民共社生の選挙互助会が一定の票を獲得したらしいが、どうやら一過性のもので、何の統一政策も持たずに単に『反安倍、反日』がちょっと集まってみましたという印象しか与えなかった。かろうじて赤い大地にならずに済んだのかどうか・・・。

日本の政党政治がまともに見えない、あるいはわかりにくい理由の一つはいわゆる『院内会派』(国会法では『会派』)というものの扱いだろう。
院内会派というのは、国会の各議院において活動を共にする国会議員2人以上で結成する団体のことで、必ずしも政党とは一致しない。
例えば4月末時点での衆議院会派は、
・自民党会派—>自民党 291
・民進党・無所属クラブ会派—>民進党 96、無党籍 0
・社民党・市民連合会派—>社民党 2、無党籍 0
・無所属会派—>正副議長 各1、無党籍 12
などとなっていて、
参議院では、
・自民党会派—>自民党 113、無党籍 3
・民進党・新緑風会会派—>民進党 59、無党籍 5
・社民党・護憲連合会派—>社民党 3、無党籍 0
などとなっていて、無所属、無所属クラブ、無所属会、無所属の会といった名称が入り組んでいる。(名称の中黒『・』にも意味がある)
それぞれ歴史的な経緯があり、その名称を使用しているのだが、市民連合だの新緑風会だの護憲連合とはいっても所属議員のいない、政党ではない名称だけの入れ物になっているところが実に面妖である。

国会議員2人以上の会派になると(参議院では)院内交渉団体となるが、衆参両議会で国会法に基づいて会派の所属議員数によって、委員会の議席数や、発言・質問の時間配分、法案提出権などが左右されるため、国会議員というのは選挙当選までは政党、当選後はこの会派にある意味束縛されることになる。
また、この参議院の院内交渉団体は通常国会では5名以上、臨時国会と特別国会では10名以上の国会議員で構成されていることが要件で、現在は事実上党首討論ができるのはこの院内交渉団体の代表者のみである。したがって、党首討論ができるのは、自民党、公明党、民進党、共産党の4党だけとなるが、与野党で分かれるため、
岡田vs志位 や 山口vs岡田 志位vs山口
といったバカバカしくて逆に視聴率が取れそうなプロレスは残念ながら見られない。

さらに、議員が1人だけの会派は制度上認められないが、無所属であっても政治資金規正法上の政治団体に該当する場合は『みなし会派』とされ立法事務費(月額65万円)が支給される。(まったく、歳費以外にいろいろな収入があるものだ。これだから議員は辞められないだろうな可笑しくて)
一方で政党交付金は会派ではなく政党に対する助成であり、その財布から各議員は分け前をもらう格好になる。

筆者の知識不足かもしれないが、政党と院内会派といった鵺のようなものを混在させてそれぞれ国庫支出を伴う複雑な制度を運用しているのは日本ぐらいではないだろうか。
国会ではしょっちゅう議員定数と議員の歳費が話題になり、マスコミも国民もそこに注目しがちで、今度はアダムズ方式(今年の流行語大賞候補か?)だそうで、いつの国勢調査を元にして実施するかが話題のようだが、その公職選挙法だけではなく、
・国会法
・政治資金規正法
・政党助成法
・政党法人格付与法
・立法事務費交付法
について見直し、シンプルなわかりやすい政党政治にすべきである。
しかし、それらを決めるのも影響を受けるのもlawmaker達自身であるという自己矛盾の塊のような政治屋達に期待するのは詮無きこととも言える。
ただ、政党としての真っ当な理念・主張・政策といったものを持たないままsingle issueや反政権選挙互助会に走るクズ集団や支持母体が不明なため主張・政策が趣味のレベルから進展せず、無所属→自民党→無所属→たちあがれ日本→太陽の党→日本維新の会→維新の党→無所属→改革結集の会、そしていつの間にか民進党といった秋田県選出の“住所不定”wandering議員M氏(理念が地方政治屋)のような政治パフォーマーが比例区で何となく当選したりする異常な日本の選挙と政治状況は変わらない。
右や左といった議論以前の幼稚な話なのである。

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