壮大で危険なギャンブル ~BREXIT国民投票~

いやはや、BREXITの話題・ニュースは凄い。まずは参院選よりもこっちだ。
EU離脱反対・賛成のアンケート結果が様々な調査会社から出るたびに、株価や為替が乱高下し、マーケット参加者が乱高下を嫌気して減っているせいかボラが上がって余計に値が飛ぶようである。超高速取引の影響もあり、トレーダ達はオチオチ寝ていられない毎日だろう。
筆者の場合は仕事がユーロ建ての契約が多く、ユーロが暴落して円高になるのが好ましくないシナリオだが、4年程前の97円前後を何とか凌いだ記憶があるため、現状の値はまだマシだが、あの領域に行きかねないという予想もあり、仕事を拡大するよりも守りに入っているのが正直なところだ。ビザの書き換えで今回の日本への帰国も少々長引いているが、BREXITの結果が出次第ウィーンに戻らなければ。

各国の顧客の反応も、フィンランドの顧客は『イギリスは出ていきたければ出ていけばいい』という反応だし、ポーランドの顧客はイギリスとの取引相手があるせいか離脱は困る、ロシアの顧客はどちらでもいい、ドイツの顧客は離脱は絶対拙い、チェコやハンガリーの顧客は離脱はEU崩壊に繋がる・・・と様々だ。
確かに仮にイギリスがEU離脱をした場合、同じく離脱の声がくすぶっているオランダ、デンマーク、フランスでは離脱派の声が大きくなるだろうし、イタリアもローマ市長に欧州懐疑派(EU議会や通貨ユーロに反対の立場)とも呼べるベッピンさん(あまりイタリア顔ではないのでルーツはバルカン半島あたりか?)が就任するそうで五つ星運動(M5S)のみならずナショナリズムが高まるだろう。
イタリアやフランスがEU離脱となれば、南欧スペイン、ギリシャといったEC(EU委員会)、ECB、IMFのトロイカに首根っこを握られている国々は債務放棄を含めて反旗を翻しそうだ。そうなれば、戦争を繰り返してきた欧州に逆戻りは想定に入ってくる。

結局、EUの現状はトロイカとドイツ銀行、フランスのBNPパリバによる経済支配のため、これが面白くない国々はEXITを考えているのが本音だろう。
そうなるとEUは南北・東西に分解し、ドイツ・フィンランドを中心として旧東欧が一つのグループで、それ以外は地中海南欧でのグループとイギリス・オランダ・デンマークあたりの北海グループの3つくらいに分かれるだろう。
EUのおいしいところをつまみ食いしていると揶揄されるオーストリアは当然ドイツに追従するだろうが、スイスのように唯我独尊派もいることから、国内でも地域によってはスイスや南欧グループとくっつこうとするムーブメントの衝突も十分予想できる。

それにしても、イギリスは国民の賛成・反対派だけではなく、閣僚もバラバラ、新聞社もそれぞれ主張を表明し、スポーツ選手や芸能人まで意思表示を明確にしているのが日本的感覚からは驚くべきことだろう。民主主義とはかくあるべきか。
そもそも、キャメロンとオズボーン(財務相)はEUがドイツ・フランスの主導で動いているのがイギリスの国益を棄損していると考え、AIIBに限らず独自に支那とのチャネルを強化してきたはずで、やや離脱支持の空気もあった。そのため、キャメロンは後継者に前ロンドン市長のボリス・ジョンソンを指名していたはずだ。
しかし、支那の経済が傾きかけていることが影響したのか、いつの間にかキャメロンもオズボーンも離脱反対・残留派になっている。
梯子を外された格好のボリス・ジョンソンは意地で離脱支持を謳っているように見えないこともない。

世界的な経済学者達はどちらかというとイギリスのEU残留を支持しているように見えるが、それは純粋に経済的な評価だけではなく、欧州の歴史を踏まえて、安全保障上の懸念が生じることがセットのようにも見える。
イギリス国内の様々な人々のインタビューを見ても、経済的に本当にどちらにメリットがあるのか判断しかねる様子だ。
2択の単純な問題にも関わらず、影響範囲が広範で複雑なため、頭の良い学者達でさえどちらが正解なのかの判断がしにくいのは非常に興味深い。

ブックメーカーのように賭けが好きな国民とはいえ、国民投票の結果がその後の議会での決定にストレートに反映されるかどうかは未定なものの、出てくる結果が欧州だけではなく世界中に及ぶことを考えると、あまりにも危険なギャンブルのように見えてしまう。
案外、エリザベス女王の一言で収拾が付く・・・なんてことはあり得ないか。

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壮大で危険なギャンブル ~BREXIT国民投票~ への4件のフィードバック

  1. gai-yaang より:

    英国もときに理性より感情にしたがい大失敗しています。第一次大戦ではベルギーとの古い条約により、大陸の戦争に参戦、将来を担うはずの人材を失いました。第二次大戦も同様、ドイツとソ連の共倒れを高みの見物していればよかったのにドイツ憎しのあまりポーランドとの条約に従い参戦、さらには日本にまで圧力をかけ続ける始末。結果はシンガポールの陥落から大英帝国崩壊へ一直線でした。

    当時の英国の外交官には、地中海の安定にはイタリアが必要で、インドや支那の安定には日本が必要だとする穏健派もいましたが、戦争狂のチャーチルは戦争に邁進しました。

    今回のEU離脱問題も英国人のドイツ嫌いで離脱派が勝利するかもしれません。

  2. イギリスの離脱が決定しましたね。これで、アベノミクスも、唯一の成果株価が下落し、円高も進み、国内産業にも大影響が出そうですね。でも、個人的にはイギリスを避難する気にはなれません。

    普通の国であれば、国際公約よりも国内問題を重視するのが当然で、移民が多いために職が奪われると考える国民が増えた結果があの投票結果でしょうから。

    ブログ主さんも、おそらく対策で飛び回っているんだろうなと、推察します。お体に気をつけて、(頑張れという言葉は使いたくないんだけどいい言葉が思いつかないので)がんばってください。

    日本の政府や日銀が、日本国民を守るために早めの対策を打ち出して欲しいと思ってます。

    • argusakita より:

      いやぁ、さすがイギリスという結果でしたね。おまけにキャメロンも辞意だそうで、混乱の拡大は予想が付きにくく、エコノミストや学者も少々沈黙かもしれません。
      マスコミが適当なコメントをニュースで言っていますが、多方面への影響は計り知れない。

      離脱に向けて動くのでしょうが、あくまで決定はイギリス議会ですから、ひっくり返る可能性もゼロではない気がします。

      ご心配いただいて恐縮ですが、私のところは短期的なモノの売買が商売ではないので取りあえずは為替や株価のチャートの『落ちるナイフ』を唖然としてみているだけですが、取引先の様子は様々で間接的な影響を心配しなくてはいけないところです。

      問題は、市場への影響が長期化することでしょうが、あまりニュースで大変だ大変だとやると直接的に関係の無い普通の消費者もマインドがますます冷えてしまうので、選挙中ですし政府・自民が世界の中銀と連携して動かないとヤバいなぁと感じています。

      チャート見ていると世界中の金の亡者とFRBやECBやBOJが緩和してジャブジャブのマネーの行き場が本当に無いのだろうと思いませんか?
      一方では貧困や難民。必要なところに必要なマネーが供給されない。このままだと行きつくところはどこでしょうね。
      富裕層には本気でSIB(ソーシャル・インパクト・ボンド)を手掛けて欲しい。

      参院選の選挙の争点ってのがまたボケますね。

  3. argusakita より:

    しかし、結構奇麗に南北で分かれました。
    https://argusakita.files.wordpress.com/2016/06/eu-referendum-result.jpg

    何となくわかるような気がしますが、キャメロンの辞意表明に続いて、
    ・ロンドン市(グレーターロンドン)独立
    ・スコットランド独立再燃
    などの声が挙がってきたようで、そろそろエリザベス女王の出番かなと。

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