公正取引委員会の曖昧さは問題

日経新聞によれば、公正取引委員会はキヤノンによる東芝メディカルシステムズの買収を承認した一方で、独禁法違反のおそれがあるとして同様の行為を繰り返さないように行政指導したそうだ。
独占禁止法第10条第2項と第5項にあるように株式取得の届出制度というのは買収の際の国内売上高や議決権保有割合の厳密な数値による要件が定められていて、事前に株式取得に関する計画届出書を公正取引委員会に提出する義務がある。
ihannshoritetudukizu今回の買収では、この届出制度を無視して株式売却を先に進めたもので、明らかに独禁法違反で決められている処理手続きによって課徴金もしくは刑事告訴されても当然の事案である。
それにも関わらず、行政指導(口頭注意?)というのは処理手続きの警告に当たるかどうか曖昧だ。次に同じことをしたら刑事告訴だと言ったそうだが、じゃあ1回目はいいのかと。
覚醒剤や大麻だって1回目だからといって不起訴ということは無いではないか・・・。


独禁法の適用というのは昔からどこかザルな部分があり、今回のキヤノンと東芝メディカルシステムズのような三角合併は今後増えてくるだろうし、日本の会計法上難しいとされる逆三角合併も出てくると思われる。
そうなったとき、公正取引委員会は届出制度程度で対応できるのかどうか非常に疑問であり、新たなルールが必要と思われる。まさか、今回のように目こぼししていくつもりなのだろうか。
課徴金なりをもっと厳しくするだとか、独禁法の改正をするなりしないと、対応できなくなる恐れがある。

買収と独禁法だけではなく、証券市場に関しても日本には危ういものを感じている。
以前書いたように東芝粉飾決算問題では、そもそもいい加減なことをやっていたのは東芝だが、その処理において金融庁の証券取引等監視委員会、東証も相当にいい加減なことを押し通し、マスコミ対策もバッチリ行った(だろう)ため、大きな騒ぎにはならず、むしろ結果によっては10万人20万人の従業員とその家族が路頭に迷うといった情緒に訴える手法で世論を封じ市場の透明性や監督官庁の責任に蓋をした。
日本を代表する企業の矜持を問われると同時に、多年に渡る粉飾決算を容認していた(気付かなかったでは済まされない)監査法人、金融庁、東証が完全にグルで動いたとしか思えない。
特に東芝が悪質なのは公募増資で3,174億円、取引先金融機関向け劣後債1,800億円と合わせて約5,000億円調達していて、この公募増資が虚偽記載の有価証券報告書をもとに行われたことだ。
犯罪でしょう? 何故、上場廃止にならないのか? なぜ東京地検特捜は動かないのか?

東芝の粉飾決算露呈後、株価が3割下落したことで被害を受けた株主原告50人が昨年12月7日に、東京地方裁判所において請求総額3億円の訴訟を起こし、裁判は継続中である。
規模は小さいながらも東芝はアメリカで『米国預託証券』を発行して主に個人株主がこれを買っていた。このグループもアメリカで訴訟を起こしたが、どうやら裁判の管轄権の問題で棄却されたようだ。(ただし、これは日本の訴訟には影響はないとされる)

株価に限って見れば、訴訟を起こした原告団よりも遥かに多数の株を持つ機関投資家や富裕層にとっては有耶無耶にされることで大幅な下落が無く難を逃れた格好でいるだろうし、破たんまで追い込まれない東芝社員とその家族も一安心だろうが、コトはさほど簡単ではない。
アメリカには、企業の不正を調査し、空売りを仕掛け儲ける阿漕な企業も沢山ある。
glaucus-investments-sidebar例えばGLAUCUS Research Group(グラウカス社)。ここは上場企業の不正などを調査し、それをマスコミに公表させることや場合によっては訴訟を起こすことで大幅な株価下落が見込める場合に空売りを仕掛け、下落した瞬間に買い戻すことで大きな利益をあげている企業だ。
これは単なる仕手株のような風説の流布(これは違法)による株価操作ではなく、実に合法的な手段だ。HPによると現在は香港のサプリメント企業がターゲットになっているようだ。

金融の世界は生き馬の目を抜く世界で、東芝や買収されたSHARPなどが餌食になってもおかしくないくらいだった。
それを防ぐ意味で、企業だけではなく監査法人、金融庁、東証が一体になって動いたと見えないこともないが、真相は闇である。
しかし、こういったグラウカスのような動きを牽制する意味でも株式市場の透明性、証券取引等監視委員会の厳正さが要求され、それが結局は市場の活性化や株主利益にもつながるはずだ。
日本的な大企業は多数の従業員を人質同然に抱え、Too Big to Fail(大きすぎて潰せない)を暗黙のうちに主張しているが、株式会社というのは株式がそれを支えている以上どんなに大きくても標的にされたら最後なのである。

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公正取引委員会の曖昧さは問題 への1件のフィードバック

  1. argusakita より:

    伊藤忠が狙われている。
    伊藤忠に独立調査委の設置と会計処理の検証を要求=米グラウカス

    いよいよ、日本企業もハゲタカ、ハイエナに狙われ始めた。
    空売りを仕掛けてから、こういったネガティブな情報を流し行動を取る。

    日本側は、
    空売り後の公表、倫理的に疑問=伊藤忠リポートで日本取引所CEO

    口先で抵抗しても手遅れである。
    だから、証取委や公取委といった政府機関は透明で公明正大に動かないといけない。
    東芝やキヤノンのような事案を政府・企業・証取所で守れるのか。

    日本のマスコミはこの大ニュースを全く取り上げていない。

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