何でもISというのはミスリードか?

ウィーンに戻ってくる機内でバングラデシュの事件のニュースを知り、こういったソフトターゲットのテロ行為は海外で仕事をしたり住んでいる者にとっては『明日は我が身』という気持ちを強くさせるのだが、日本のメディアの報道を見ているとどこかスッと落ちない解説記事が多く気になった。
確かに使用した武器はIS経由(突き詰めれば、よく言われるようにアメリカ・イスラエルの軍産複合体)なのかもしれないが、銃撃戦の末死んだとされる犯人達の写真が揃いも揃って紅白のクーフィーヤ(シュマーグ)を被っているのはISとの直接的関係性が薄いように思える。
しかし、まずは何よりも、不幸なテロに遭遇した邦人達とその家族に哀悼の意を表したい。

Bangladesh-attack中東ではクーフィーヤはその色で自分の大雑把なポジションを示すもので、有名なパレスチナの故アラファトは白黒(パレスチナ解放)、紅白(リベラル)、緑白はイスラム原理主義のハマスなどが代表的なものだ。
一方、イスラム国は黒を基調とし、プロも顔負けのハリウッドばりのプロパガンダ映像を制作したり、ユニフォームを統一(まあ撮影時だけだろうが)し、イメージ戦略には煩いはずだった。
しかし、後付けで『ダーイッシュ、バングラデシュ支部』といったものを付けて犯行声明を出したのは、単なる追認であって、あまり直接的な関係はないものの、非イスラム世界に脅威を与える効果は同じだという理由で彼らのプロパガンダに利用したのではないだろうか。
もし、そうならば、図らずもそのIS側のプロパガンダに世界中のメディアが乗せられた格好になる。

報道によれば、犯人たちはバングラデシュの富裕層の子弟であり、英語も話せる者もいたり教育水準も高かったとかで、貧困層を利用したISの自爆テロや西側社会の底辺層の不満分子を取り込んだHomegrown terrorismとは少々違うものではないかという印象だ。
バングラデシュの富裕層の子弟がファッションで紅白のクーフィーヤを被り武器を手にした『なんちゃってテロリスト』風な写真(ISの旗をバックの記念写真?)を残していたのはテロの目的、示威行動としては別のものがあったのではないかと推察する。

バングラデシュは、昔トランジットでダッカの空港に降りたくらいで筆者は仕事上も全く無縁だが、近年のあの地域は、周囲を囲まれたインドの経済的発展や、最後のアジアのフロンティアと言われるミャンマーも民主化と外国資本による発展が著しく、インドの反対側のパキスタンとともにやや取り残された感のある国である。パキスタンのような核保有国ではないため、もっと欧米資本にコミットして欲しいという欲求があるはずだが、実際にコミットしているのは支那が中心である。
支那はしばらく前からベンガル湾への出口の軍事拠点として価値があるためバングラデシュにはインフラ整備等でコミットしているが、これに関わっているのがバングラデシュの富裕層あるいは新興企業などだろう。

支那ビジネスの強権的なやり方でおいしい思いをしている層がいるところに、日本や先進国の穏便なJICAのような『開発支援』プログラムで金と人を送り込んだらどうなるだろう。
当然、強権的な手法や人身売買による奴隷(に近い)労働者の利用で利益を出してきた連中にとっては面白くないのは容易に想像できる。
日本では発展途上国での日本人技術者や医療・教育といった貢献が手放しで称賛され、若い人でもそれに続く人が増えているらしいが、こういった『国際貢献』は現地から見たら必ずしも歓迎されるものではない。
誤解を承知で言えば、現地には現地の文化・伝統や仕事(雇用・労働)のスタイルがあり、それを西欧風なもの(それを善しとする思想)に置き換えようとする試みは間違いなく軋轢を生む。これは、アジアやアフリカのどこでも同じである。

今回犠牲になったのは日本人技術者やインフラ関連のコンサルの人々らしいが、犠牲者側から見ればバングラデシュの発展に貢献したのだろうが、現地の既得権益を持つ連中側から見たら『仕組みを壊す破壊者』である。
商売上、障害になり得るものをテロを装って排除し、そこにイスラムのコーランというエッセンスを取り込み事件を起こした。それをISが追認してプロパガンダに利用したというのがコトの真相ではないだろうか。

国全体として『親日』といったイメージがあろうがなかろうが、日本人にとって日本以外は世界中危険な場所だらけだということは肝に銘じないといけない。

バングラデシュと聞いて、東パキスタンの国名を記憶しているような筆者と同世代の方へ。
・・・・凄いコンサートでした。

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何でもISというのはミスリードか? への5件のフィードバック

  1. 脇道コメントですみません。ジョージ・ハリスンいいですね。遅れて出てきたため、作品数は少ないけど、ジョージのビートルズナンバーはいい曲が多い。ホワイル・マイ・ジェントリー・ウィープスとか、サムシングとか。数撃ちゃ当たるのポール・レノンと、厳選曲を出しているジョージ。私の勝手なビートルズ感ですが。

    ついでにもひとつ、脇道コメント。小乗仏教国はほとんど今はマホメット教国に感じます。自分自身の解脱を目的とする小乗仏教は大多数の理解を得ることは出来ず、他の宗教に駆逐されてしまうんでしょうね。

    • argusakita より:

      ジョージ・ハリスン、いいですよね。

      >小乗仏教国はほとんど今はマホメット教国に感じます。
      ん? どんなことからそう思うのでしょう? タイなどはイスラムの空気は感じませんが。

      • すみません。後半は私の妄想混じりのイメージです。
        歴史的には、開祖の考えに近いのは小乗仏教の方で、周りの人を救うということではなく自分自身が修行して解脱するというのが小乗仏教です。大乗仏教はほぼ日本のみらしいので、私の考えは違っているかもしれないんですが、民衆の立場としては、自分たちも救ってくれよということで出来てきた宗教です。
        イスラム教は、スタート時は山賊みたいなもので、自分たちの宗教を信じるなら財産の寄付を、そうでないなら虐殺、という乱暴なことをしていたという話も聞きましたし、イスラム国は先祖返りしているような気もするし、ということで、こんな妄想混じりのイメージになったためつい、指が滑った。
        すみません。

  2. るりこ より:

    確かに。同意します。それはそうと、中学生のころ、ジョージに賛同してバングラデシュ募金運動をした記憶が甦りました。

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