法整備の遅れている日本はデジタル通貨の草刈り場となるか

日経新聞によると、
三菱UFJと仮想通貨取引所、資本提携を正式発表
だそうで、いよいよメガバンクが本気で動き出すようだ。
筆者は以前から、
日本はフィンテック先進国になるのか後進国になるのか
パイオニアになるか破壊者になるか~三菱東京UFJ~
と、フィンテックやデジタル通貨(≒仮想通貨)の現状に触れてきたが、日本のマスコミはあまりこの話題を取り上げない。取材不足なのか意図的に扱わないのか知らないが、筆者から見ると法整備が遅れている金融庁が現行の銀行法の運用でカバーしようとしている、あるいはまずは金持ち達の便宜を図り、様子を見ながら問題が生じた時点で縛りを厳しくし、一般の国民が利用する段階ではあまりメリットが無い状態にしておこうとしているかのどちらかであるように見える。

そもそも、国家の発行によって国家の保証のある通貨とは違うデジタル通貨は無視できるような規模(航空会社のマイレージやコンビニのポイント)であれば大して問題は無いが、今やその規模をどんどん拡大している。
ビットコインの技術であるブロックチェーンの技術は進化していて、R3(R3CEV LLC社開発)という技術のコンソーシアム参加企業は蒼々たるものになっている。
昨年段階ではバークレイズ、ビルバオ・ビスカヤ・アルヘンタリア銀行、オーストラリア・コモンウェルス銀行、クレディ・スイス、ゴールドマン・サックス、JPモルガン、ロイヤルバンク・オブ・スコットランド、ステート・ストリート、UBS の9社だったが、ここにバンカメ、シティ、ドイツ銀行、三菱UFJ、みずほ銀行、三井住友銀行、野村証券等も参加し、現在は世界中の大手金融機関40社以上が参加している。

ブロックチェーンとは多数のノードに同一の記録を同期させる仕組みで、ノード間の記録に差異が生じた場合には、一定のルールに基づく多数決によって正統とされる記録を決定することで同期を確保していく仕組みを持つ。このノード間はバケツリレーのような方式もあるが、マルチキャスト方式も可能だ。
このブロックチェーンの持つ危うさはインターネットのセキュリティという本質的な問題もさることながら、取引履歴も非公開の形で運用することも可能であり、既に多くの問題点が指摘されている。

デジタル通貨の場合、通常の通貨のような手形交換所が無いため、決済記録の義務が定められていない。つまり記録を一定の帳簿記載する義務がない上、記録保管の義務(保管期間も)がない。
そんなものが世界中で稼働し始めたらどうなるか。闇市場を生み、課税の逃げ道になり、それこそマネーロンダリングに利用されかねない。パナマ・ペーパーどころではないのだ。
何しろ取引・決済記録をどこにも問い合わせられないことすら起こり得る。ビットコインの事件がまさにそれで、記録が無いため『ハッカーに攻撃されてデータを取られた』の言い訳でお仕舞なのである。
銀行等から見れば、INとOUTが明確なら途中経過などどうでもいいだろうし、そもそも現在の主に紙による情報の管理・保管コストなどを大幅に削減できるメリットが大きい。

そんなバカな・・・と思うのは日本的安全・安心神話思考で、それを意識してかどうか、日本取引所グループは、野村総研と共同でブロックチェーンに関する実証実験を開始している。その中でブロックチェーンに記録される情報は、証券など資産の移転を証明することになるとされるが、これに使うLinuxベースのHyperledger projectのフレームワークが何しろOpenな規格とソフトウェアに基づくもので怪しさ満載である。このHyperledger projectには日本からもNTT、NEC、富士通、日立なども参加しているが、コンソーシアム参加企業とはいえ中身の100%まではアタッチできないブラックボックスだろう。

そもそも日本は電子的記録の利用、管理、保管に関する法整備が遅れに遅れている。そこにこんなブロックチェーンのような責任窓口の不明なシステムが入ってきたら、何か利用者に不利なことが起きた場合でもそれを守る法律が無い状態になる。政治家がもっと勉強し法整備を急ぐべきだが、ごくごく一部の政治家くらいしか議論にはついていけないだろう。
金融庁も銀行や証券会社の監督省庁としての存在に相変わらずふんぞり返っているようで、この三菱東京UFJの資本提携で今後何が始まるのかわかっていないのではないだろうかとさえ見える(まさか、そんなことは無いだろうが)
しかし、東芝の粉飾決算による資金調達の件を有耶無耶にし、東証にすら責任を問わず、監査法人をトガゲのシッポにしてチャンチャンの顛末を眺めていると、日本は金融もICTも全然ダメなレベルに陥る(既に過去形?)のではないかと危惧する。

国内だけなら政府と大企業は悪代官と越後屋の関係でいいだろうが、ボーダーレス、グローバル化によってもっと悪い代官と巨大な越後屋が加わった場合の備えができていない。
そして犠牲になるのは大体の場合、何も知らないでいる善良な一般国民や中小企業である。

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法整備の遅れている日本はデジタル通貨の草刈り場となるか への1件のフィードバック

  1. ブルーベリー より:

    ウーバー、エアビーアンドビーなどは、規制の強い日本では「違法扱い」で展開できません。
    日本は異常に既得権益が強固で、この手の国際競争には敗れてしまう。

    そもそも、日本には理系人材が2割しかいませんし、学生のレベル低下が深刻です。
    理系学力が酷く劣る秋田県の衰退の歴史を振り返れば、日本の未来が解ると思います。

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