お決まりの『実証実験』という名の無駄遣い ~秋田県、テレワーク実験~

たまには秋田のニュースでも見てみるかと眺めていたら、秋田県が先般のドローンに続いて、またまた『実証実験』という名のもとに無駄遣い(まあ少額だろうが)を画策しているようだ。
遠隔地業務、課題探る 県導入へ実証実験 /秋田(毎日新聞)
テレワーク(これは官製日本語造語)を国の地方創生に関する交付金を活用して今年の11月から来年3月にかけて実際に取り組み、課題を探るのだそうだ。


いくら無駄遣いできるのか知らないが、『子育てと仕事の両立や全員参加型社会の実現を目指す』といった大そうなお題目ながら、実際に手をつけるのは庁内の話で、肝心の民間に対しては『県内企業を対象にテレワークの効果を伝えるセミナーを開くなどして支援する』程度だそうで、この事業が国の省庁から押し付けられたのかどうか知らないが、少々おツムがどうかしているように見える。押し付けられた予算を『めんどくせぇな』と言いながら使わないといけないという立場に一度でいいからなってみたいものだ(^^)。

遠隔地業務(Telecommuting)はよく知られているように、ICT機器を活用し時間や場所の制約を受けずに、柔軟に働くことができる形態を指すもので、1970年代のアメリカから始まっている。
インフラの整備、高度化、低価格化に伴って十分実用的なものがいくらでもパッケージとして存在し、これを導入するのは非常に容易だ。
国内でも1990年代からあちこちで実験・実証が行われ、そのメリット・デメリットが明確になっていて、遠隔地業務に向く仕事とそうでないものも明確になっている。
それにも関わらず、秋田県が今更『実証実験』を行い、課題を探り、余計なお世話のように民間に普及を推進していくという。何をか況やである。
トップダウンでやるならやると決めれば良いだけで、実験など不要だ。

確かに秋田県の場合、秋田市のような都市部ですら有線/無線の高速ネットインフラの整備が遅れているくらいで、秋田市以外の郡部では一部を除いて通信そのもののインフラに起因する技術的な問題はあるだろうが、需要が少なければ高速ネットインフラの整備が遅れるのは仕方がない。しかし、それは実験するまでもなく、技術的な机上の計算で見通せることである。
それ以外、行政サービスの法的縛り以外は『やってみなけりゃわからない』といったものは無い。

11月~3月という冬期間の遠隔業務、特に在宅勤務は、通勤の必要が無いため冬場の渋滞を考慮した場合メリットは大きいだろう。(当然、在宅勤務者は交通費削減をすべき)
また、ただでさえ身分保障と給与の保証があるも同然の公務員が在宅勤務になって自分の裁量で労働時間と場所を決められるならば、最強のサラリーマンといえないこともない。
しかし、日本型ホワイトカラーの世界は縦社会で上司が部下を勤務時間中見張ることで仕事上の評価をしているわけで、明確な数値で表現できる評価基準(例えば民間の営業マンのノルマ)がほとんど無いと思われる一般事務の公務員の仕事では、在宅勤務になった場合の労務管理や人事評価が非常に困難になることは容易に想像できるではないか。残業も何もないのだから労働組合もお手上げ状態になる。

労務管理では、在宅で『いつでも仕事ができる』ということは『いつでも仕事をしないといけない』状態になることを管理側も労働者もすぐに気づくはずだ。これは9to5で暮らしているサラリーマンの理想のような公務員にとっては実は非常に嬉しくない状態をもたらす。
裁量労働制は時間的な融通だけではなく仕事量そのものにも影響するため、ただでさえ『今日やれるものは明日やれ』の体質の公務員がコントロールできるはずもないし、仕事量の適性値の評価もできないはずだ。
ダラダラ仕事をしていれば、長時間労働という判断もでき、給与が変わらなければ結果的に労働単価が下がる格好になる。

WorkingMom_0子育てしながら仕事を・・・、一見聞こえはいいが、在宅になれば子育ての合間に仕事をしているのか、仕事の合間に子育てをしているのかわからなくなるだろう。
そんなどちらでも良いような仕事はそもそも仕事としての必要性、重要性、緊急性は無いものだろう。公務員の仕事はそういうものだというのには一理ある。
また、在宅で何らかの事故が起きた場合に、それが労災対象なのかどうかについても潜在的な問題を抱えていて、労働基準監督署も在宅勤務には真正面から取り組んでいない事情もある。細かい話で言えば勤務表をどうするかといった問題も明確ではない。
在宅で使用していたPCが過熱してそれに触った幼児が火傷した場合、駆け込んだ先の医者だって保険適用をどうするかの判断は困難になる。

思いつく課題をランダムに上げただけでもこの程度だ。制度、法律、条令面での課題は多いかもしれないが実験でどうにかなる問題ではない。その意味からも実験など必要は無い。
百歩譲って実証実験とするならば、仕事に合ったシステム構築(コンピュータ、通信インフラ)をするのではなく、ある程度の要求仕様に基づいたシステム構築を行い、”それに合った仕事を準備する”以外に無い。無論、それに見合った仕事はどれが該当するかであるが、これも既に大体整理されている。

Flexible-working朝夕の渋滞を避けて在宅勤務をするメリットはあるだろうが、せいぜい冬場だけだ。
在宅勤務では結果的に自宅にいなければならない結果になりかねない。
人口減少で街の中に『にぎわい』の無くなった秋田にとって、推進すべきは在宅勤務ではなく、県庁庁舎に引きこもっている一般事務職を街の中のどこでもいいから(スタバやナガハマコーヒーなど)インフラのある場所で仕事(といえるのかどうか不明だが)ができるモバイルワーキングが可能にすることではないのか?

telecommuting
そのほうが、街の中のにぎわいにも貢献するだろうし、交流人口増加、消費への効果もあるはずだ。

秋田、東京、ウィーンその他の都市と動きながら仕事をしている筆者が言うのだから間違いない(^^)。

それにしても、周回遅れの殿様知事らしい施策と言えばそれまでだが、動物アイゴー知事としては、『庁内にペット持ち込み可』を実現したいのではないだろうか。いっそのこと殺処分されるかわいそうな犬猫を県庁舎内で皆で面倒をみたらどうなのだ。センター建設などの無駄遣いもこれで解消されるはずだ。

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お決まりの『実証実験』という名の無駄遣い ~秋田県、テレワーク実験~ への3件のフィードバック

  1. ブルーベリー より:

    EVバスとかもありましたね。
    1億円ほど使って、県外の企業に30キロしか走らない奇妙なEVバスを作らせて、お蔵入りでした。
    ドローンでの書籍の配送も、県内にできる企業があるのに、県外のベンチャーにやらせています。

    県外企業なので、仮に実験で大きな成果があっても、秋田県にはメリットにならない。
    要するに、秋田の役人はカネが動けばそれで良いんです。
    無駄金を使わせたら世界一です。

  2. コームイン より:

    ご存知のように、「実験」と名前を付けておけば、うまくいかない場合でも「実験ですから成功も失敗もあります」と言えますから。
    これで誰も責任を問われることはないという公務員の使う常套手段です。
    (ずるいでしょ(笑))

    在宅勤務は、確かだいぶ前にアンケートを取ったら3割くらいしか賛成じゃなかったはずですが、またぞろやろうとしているのは子育て中の職員狙いでしょう。

    • argusakita より:

      そうそう(^^)。

      ついでに言えば、事業・施策の担当者名どころか担当部署もまずアナウンスすることはしない。顔が見えないのが公務員体質の特徴でしょうね。
      忘れた頃に出てくる事業評価書というA4で2枚くらいの報告が掲載される程度で、そのお手盛り自己評価は大体が『おおむね良好』や『一定の成果があった』で終了。
      知事の会見でも自身の施策について常にその大枠は変わらず。

      県独自で使える予算枠は一般会計予算約6,000億のうち1,000億もないでしょうから、こんな無難な無駄遣いしかできないという事情はわからないでもないですが、延々といつまで同じようなやり方なのかとガッカリですよ。
      県民がそれぞれの分野でもっと細かい事業評価のチェックをするようにならないと『悪い無駄遣い』は無くなりませんね。

      ※たまに、『良い無駄遣い』もあることはあると思いますが・・・。

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