ロシアとNATOの火種は常に存在

小雨交じりのウィーンはちょっと肌寒いくらいだ。やはり、アメリカンな西海岸の空気よりもこちらのほうが体(歳かな?)に合っている感触。
下手に寝ると拙いので、早朝散歩しながら珍しく近所で新聞を買って眺めていると、NATOの話題が普段よりも多い気がした。
今月8,9日にワルシャワで開催されたNATO首脳会議は対ロシアでバルト三国とポーランドに米英独加と一部仏の4,000人規模の大隊派遣についてコミットし、MDシステムのポーランド配備も進めることになったが、必ずしも一枚岩ではないことがまたまた表面化した。
1991年に解散したワルシャワ条約機構(WTO)を教科書で習った者としては、ワルシャワでNATO首脳が・・・隔世の感があるではないか。

今回の大隊派遣は、アメリカがポーランド、イギリスがエストニア、ドイツがリトアニア、カナダがラトビアという割り当てでそれぞれ1,000人規模の派遣で、対ロシアで結束を見せるかと思えたが、首脳会議でギリシャのチプラス首相が『ロシアと対話を・・・』と話し始めて、オバマがそれをビシッと遮ったと伝えられている。
欧州でも長引くウクライナ・クリミア問題の対ロ経済制裁で煽りを受けている(ロシア向けに輸出できない)独仏伊あたりが対話に向けて態度を軟化させている。
これに加えて、フィンランドとスウェーデンの非NATO加盟国の2国も海・空でのNATO演習には参加しているものの、国民やメディアはNATO加盟の声をあげているものの、本音はやはり対話路線を望んでいるようだ。
0107 Sauli Niinistö ja Vladimir Putin menossa tiedotustilaisuuteen Kultarannassa perjantaina.特に国境(約1,800km)を接しているフィンランドは、プーチンが『もしフィンランドがNATO加盟となれば、ロシアは国境警備のために軍の再編を行う』と言った。1日にわざわざプーチンがフィンランドを訪問して『わかってるな!』とばかり恫喝したのは明らかで、NATO対ロシアではなく、フィンランドとの2国間協議に留めようとする手法は支那の南シナ海問題における対フィリピン外交そのものである。

昨年2月のウクライナの停戦合意などは完全に単なる記念文書と化している。理由はウクライナ側では、停戦して平和な状態に戻るとこれといった産業のない貧困地域(ルガンスク、ドネツク州など)をただでさえ脆弱な経済のウクライナ政府が引き受けることになり、それらの地域の人々の年金や社会保障がのしかかるため、本音は元に戻って欲しいわけではない。ただし、領土的にロシアに編入させることは認められない。
一方の親ロシア派としては、現在は電力、ガス他インフラをロシアに依存していて、元に戻るとそれらが無くなることと、ウクライナの国内的には当分裏切者として疎まれることがわかっているため、元に戻るわけにはいかない。(ロシアはそれがわかっているため手を引かない)
両方に停戦、和平プロセスに入りたくない事情があるため、仲裁に入った独仏の意向などは尊重されるわけがなく、いつまでもダラダラと小競り合いを続けている。(死者も毎日のように出ているらしいにも関わらずである)

polish-missile-defence-russian-targetロシアから見れば、NATOがポーランド以外にルーマニアにもMD配備を進めようとしているため、放っておいては、ベラルーシを除けば旧東側諸国の大半がNATO側になってしまう。地政学的にウクライナで絶対に妥協できないのはそのためでもある。かといって、旧ユーゴ解体時のように消耗戦を行うだけの体力が現在のロシアには無い。

今回のNATO首脳会議の目玉はもう一つあり、それは北極を巡る各国の対立とロシアとのせめぎ合いである。
iczMy34b北極評議会(AC: Arctic Council)は、カナダ、デンマーク、フィンランド、アイスランド、ノルウェー、ロシア、スウェーデン及びアメリカの8カ国(他に12の常任オブザーバー参加国があり、日本もその一つ)で1989年から開催されているが、2008年に上記からフィンランド、アイスランド、スウェーデンを除いた5カ国が北極海会議(Arctic ocean Conference)を開催して北極の領海と資源の問題を巡って不協和音が生じている。

NATOとEUが共同で声明を出した今回のNATO首脳会議は、BREXIT後のNATO、EUの結束を確認し、ロシアに圧力をかけるものであったはずだが、NATO加盟、EU、ACのそれぞれのグルーピングのズレによって様々な思惑・駆け引きがあって一枚岩ではないことが確認されただけだったのではないか。

Ban Ki-moonこの北極海問題は、本来は国連がイニシアチブを取って決定されることが期待されていたが、あの無能パン君では何も前に進まないことが表面化。
支那も常任オブザーバー国であるため、南シナ海に関する仲裁裁判所の裁定と絡めて、今後は北極海問題が話題に上がってくることだろう。

map-adanaそれにしてもトルコのクーデターは、即刻数万人という規模の逮捕者が出て、数千人が処刑(死刑復活? EUに加盟できなくなるが)される見通しという噂だが、Adana近郊にある米空軍基地にはニュークリアシェアリングの核兵器B-61が配備されているが、ここがクーデターで奪取されたらエラいことになっていた。無論、核兵器はコードその他のセキュリティ対策は万全のはずだが、その解除は不可能なものではないというのが常識だし、分解して核物質を取られただけでも大変なことだ。
b61s1米空軍施設とはいえ陸上部隊が大勢常駐しているわけはないためクーデター軍がここをターゲットにしなかったのは何故だろう。やはり強権エルドアンの自演だったのかもという疑念は浮かんでくる。


lee-ritenour-rio今日の一曲
憧れだった西海岸のギタリストの一人、リー・リトナーから。
1979 Lee Ritenour “Rio Funk”(Album: Rio)
動画は2009年のライブだが、ベースも無茶苦茶カッコイイ。

 

 


 

 

ブログランキング・にほんブログ村へ 
(blog rankingに参加。ご協力を。Click it!)

カテゴリー: 国際・政治, 海外 タグ: , , , , , , , , , , パーマリンク

ロシアとNATOの火種は常に存在 への1件のフィードバック

  1. argusakita より:

    西側のロシア叩きの一つ、ドーピング問題は、2014年12月のこのWDRのドキュメンタリーによる告発から始まった。
    ジャーナリスト、 Hajo Seppelt(ハヨー・ゼッペルト)の命がけのドキュメンタリー。
    ビタリー・ステパノフ(元RUSADA職員)と妻のユリア・ルサノワ(元800m選手)からの告発メールから始まる。RUSADAの重鎮や、政府機関の人物等実名入りで出ています。

    https://youtu.be/iu9B-ty9JCY

コメントを残す(短めにどうぞ)

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Google+ フォト

Google+ アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

%s と連携中