アフリカへのコミットの意義

安倍首相や岸田外相や日本企業のおエラ方がケニアに飛び第6回TICADに出席し会議は成功したとその成果を強調するニュースが日本メディアから流れている。
今後3年間で、
・官民総額で300億ドルの投資をする(官100億ドル、民200億ドル)
・5万人に職業訓練を提供
を約束し、質の高いインフラ投資やテロ対策、保健システム推進を柱とするナイロビ宣言を採択し閉幕したという。
ちょうど別件で、オーストリアやフランスで事業展開している知人から連絡があり、雑談めいた話の中で『日本がアフリカにコミットする意義は?』と聞かれ、少々窮した。
筆者も日本がアフリカに進出するのは、国連改革(?)の常任理事国入りへの票集めと支那包囲網形成のための一助くらいしか思いつかない。現状(とここしばらく)では経済的にはほとんどメリットがないばかりかリスクのほうが大きい(特に進出企業にとって)としか思えないのだ。

Tokyo International Conference on African Development(TICAD:アフリカ開発会議)は1993年の第一回から5年ごとに開催されてきたが、前回2013年の横浜開催からは3年毎の開催になるらしい。
アフリカは日本からは遠く、南米といい勝負だが、南米の場合はブラジル他日系移民も多く、ある程度親近感もあるだろうが、日本人にとってアフリカはほとんど暗黒大陸のままではないだろうか。かろうじて観光のエジプトや北アフリカのいくつかの都市とサッカーW杯を開催した南アフリカが知名度があるくらいではないだろうか。

確かにアフリカでも地中海に面する国々は経済的にも文化的にも南欧との結びつきが強く(欧州の裏庭と言われる)人口の交流も多いが、サハラ砂漠以南(サブサハラ)は成長著しい国とそうでない国の差異が大きく、アフリカという一言で括るのは困難に思える。
人口の多いナイジェリア(約1億6千万)、エチオピア(約8千3百万)、エジプト(8千百万)、コンゴ(6千6百万)などは都市部はビルも林立し、文化は欧州の影響を受けつつもキリスト教だけではなくイスラム世界もあり、ボコハラムに代表されるようにサブサハラにもそのテリトリーを拡大しようとしている勢力もいる。

筆者の小さなビジネスではとてもアフリカに出ていくなどとは考えられないが、知人達は結構平気でサブサハラに出かけていきビジネスチャンスを伺っている。
しかし、サブサハラに限れば、未だに金、銀、銅、ニッケル、プラチナ、マンガン、レアアース、さらにモザンビーク沖の天然ガス(三井物産が参画)といった地下資源が経済成長の主体で、農業、工業に関してはこれからで、かつての植民地時代の宗主国が歴史的な繋がりをテコに進出しているといった具合。特にイギリスとフランスが熱心でドイツも少々といったところか。
最後のフロンティアとよく言われるが、サブサハラの多くの課題は簡単には解決しそうにないと言われる。
実際、国連が2000年に策定したミレニアム開発目標(MDGs)の8項目の2015年までの達成は北アフリカの一部を除いてほとんどできなかった。(設定目標がハナから無理なものばかり)

経済成長は、人口増、教育水準向上、イノベーションの3つが必要(日本は全部低下中)だが、アフリカの場合は人口増のスピードが他の二つを引き離しているため歪な状況になっている。0.4を超えると貧富差が激しいとされるジニ係数も一番低いケニアで0.47程度で0.5や0.6といった国も少なくない。
資源や産業の偏在、教育格差、根強い部族意識もあり、日本のように『均衡ある国土開発』といったお題目が難しいのだろう。

サブサハラだけでも、5歳未満児の死亡(世界全体の49%)、妊産婦の死亡(同56%)、エイズ(同67%)、結核(23%)、マラリア(同90%)による死亡も多く、有体に言えば日本人の公衆衛生観念では行ってはならない場所と言える。
他にも飲料用の安全な水に対するアクセスができる場所は都市部の一部であることや、商用電力については料金は世界最安水準ながら普及率が全体のわずか2%というデータもある。

Maasai-mobileそれでも、携帯電話、スマホの普及は超急速で、アメリカのPew Researchのレポートでは、ケニアで2002年に普及率がわずか9%だったものが、2007年委33%、2010年に65%、2014年で82%と急速だ。また、固定電話の普及率は2014年にようやく3%といったところだ。(写真はここから拝借)
携帯のメーカーはNOKIAが圧倒的だったが、現在は支那の格安スマホメーカーなどが多くなってきている。キャリアは英国ワイヤレス・インテリジェンスによれば、当初はボーダフォンとオレンジが多数派だったが、現在はインドのバーティ・エアテルとクウェートのザインが伸びてきていて、バーティはテレコム・セーシェルを買収したりで、デバイスもキャリアも既に2周目といった感じである。(日本企業が入り込む余地は買収以外ゼロである)

家庭に電気もロクに無いのにどうやって充電しているのか・・・。
そこに早くから目をつけた筆者の知人は、携帯・スマホ充電器を備えたものを屋台のようなセットにしてあちこちで売りさばいて一山当てたそうだ。都市部の街中には充電屋と修理屋が非常に多いようである。

アフリカはナイジェリア(いわゆる419事件)や南アフリカで組織的な詐欺が非常に多い。これを国際的にサポートしている拠点はロンドンとアムステルダムだったりするが、実に巧妙な詐欺事案が多く、日本人や日本企業でこれに引っかかった例は相当数に上ると聞いている。
個人的には水や衛生状態の悪いところや治安のさほど良くない国でも生きていける自信はあるが、サブサハラだけは出かけていく気がしない。
ロクなインフラやビジネス関連の法制度整備も追いついていない国では賄賂と暴力だけが頼りである。支那と大差なく、ビジネスでもとにかく信用できる相手先を見つけるのに相当なエネルギーが必要である。
やはり、知人のように一発当てて、さっと手を引くようなビジネスが今でも主流といって良いだろう。

そんなサブサハラに日本から投資だの企業進出だのを進める日本政府の方針は、もし常任理事国入りへの票集めと支那への対抗が主眼なら、賄賂と暴力以外に公衆衛生の面でも後で大きなツケを負うような予感がしている。
現在は確かエジプト・カイロとエチオピア・アディスアベバへの日本からの直行便があるはずだが、アフリカ・リスクはチャイナ・リスクよりも怖いものがある。
よく、アフリカは劇的に変わったと言われるが、携帯を持ち、コーラを飲み、バイクに乗っているからといって先進国目線で観たら大変なギャップがまだまだあることは間違いない。


savanna-hot-line今日の一曲
1979
NATIVE SON “Super Safari”
マクセルのカセットテープのCMでブレイクしたかな。峰厚介のサックスがカッコ良かった。


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