極東ボストチヌイ港へのJBIC融資

既に日中でも10℃を大幅に超えることが無いワルシャワの仮事務所で日本関連の記事を斜め読み。
JBIC(国際協力銀行)が、ロシア最大手銀行のズベルバンク(Сбербанк России,ロシア貯蓄銀行)に単独融資するようだ。円建てで40億円と金額的にはさほど大きなものではないが、JBICはADB(アジア開発銀行)とは違って単独融資はあまりせず、民間と協調融資が原則なだけに異例と言える。(リーマン・ショックの時は例外とされる)
main-logo-alwaysズベルバンクは欧米の対ロシア経済制裁の対象だが、12月の安倍-プーチン会談を前に金融面での支援を見せて環境整備が目的のようだ。
ズベルバンクが極東ボストチヌイ港の運営会社に融資し、この運営会社は日本企業から港湾設備の購入を行い、返済は運営会社からズベルバンク、JBICへと2段階のローンのスキームのようだ。

2014年のロシアによるクリミア編入以降、欧米はズベルバンクを含む大手金融機関や企業への融資を禁じていて、日本も債権引き受けを禁止している、とは言ってもロシア企業の債権は一部業種を除けばジャンク債に近い。円建て融資は制裁対象ではないが、同様の理由で積極的な日本の金融機関は無い。また、金融面での連携はアメリカの睨みも効いているのも理由の一つである。

そんな中で今回のJBICの単独融資は、タイミング的に絶妙と言える。(まあ、日本が小賢しくずるいと言われかねないが)
アメリカ大統領選が終盤もまさに大詰めでオバマも既にレームダック状態、ドイツでも11月初めのキリスト教民主・社会同盟の党大会はメルケル抜きで行われる予定、フランスではオランドも大統領選とテロ対策で一杯一杯、イギリスは未だにBREXITのスケジュールで手一杯、カナダは支那人に手こずって対支那外交に注力、イタリアは国民投票で外交どころではない。G7各国が内向きな今は例え日本が多少根回し不足でロシアと向き合っても行けるだろうという読みが日本政府にあるのか、あるいは夏のサミットで既にその辺のスケジュールと動向については了解を得ているのかもしれない。
いずれにせよ、日本が近年あまり見られない外交の独自色を打ち出しているのは非常に頼もしいことであり、本来はこうでなくてはとも思えるが、こと金融に関してはマーケットという化け物を各国政府がコントロールできるものではない現在は、各国政府系ファンドなどが各国政権の忖度で日本のマーケットに制裁めいたことをしてこないとも限らない。

おりしも、日銀黒田総裁が物価上昇2%の期限について4度目の延期を打ち出すのではないかと観測が強くなり、白井前日銀審議委員が『日銀がこれ以上ETFの買い入れを拡大するのはよほどのことがないと困難』という認識を示したことで、どうやら日銀のかなりの弱気が伝わり、株安・円高に振れようとしている。金融市場で制裁めいた動きが出たら日本は非常にヤバいタイミングであることは確かだ。
日本独自の外交色を打ち出して制裁めいたものを食らったら身も蓋もない。
今回のJBICの単独融資が海外でどう受け取られるか・・・。

akita-portところで、この極東ボストチヌイ港は、秋田県の環日本海地域貿易環境整備事業の調査対象にもなっている拠点で、大震災後に決定した日本海側拠点港の一つである秋田港としては、災害時の拠点としてだけではなく、貿易港としても発展させたいはずで、コンテナヤードの広さやシベリア鉄道との連携を考えても、定期航路のある新潟、富山、門司、横浜よりも715kmと最も近いため、ボストチヌイ港にはもっと積極的にコミットすべきなのだが、毎年のように殿様は物見遊山には出かけるものの、調査概要書程度しか出ていないのは例によって殿様の公約に対するアリバイ的施策の一つなのかもしれない。

秋田県環日本海交流推進協議会にはメンバーとして秋田銀行、北都銀行なども名を連ねているが、今回のJBICとの協調融資には声もかからなかったのだろうか。
たかだか40億円である。県内では既に地元企業向け大型融資案件などは無いだろうが、かつて福島の郡山再開発事業で250億円を焦げ付かせても凌げた秋田銀行なら40億円など大したことはなかっただろうに。
何なら、北都や他の地銀を集めてJBICとシンジケート方式でも良かっただろうが、秋田県の新しいチャレンジには関わらないというスタンスのようだ。
前頭取のときはモスクワで『しいたけ』のPRをして笑わせてくれたが、ロシアには関心があったことは確かだ。頭取が代わって、最近は秋田県の後押しもあり台湾に出先を設けたようで、そのニュースを聞いたときには吹き出してしまったが、やることが5年ぐらい遅れているというか、わざわざ後発組で旨みの無いものばかりに顔を向けるという役人のようなやる気を感じさせない銀行である。いずれ、地銀再編で無くなる運命なのだろうが、やる気がなければ(世間に見せなければ)先は長くないかもしれない。

こういった対外的な事案は(無論、水面下も重要だが)周囲に見えるようにやることが重要であり、裏でコソコソやっても無意味であり、JBICとやらなくても秋田県は秋田県で独自に・・・という向きもあるだろう。
しかし、何のための秋田県環日本海交流推進協議会なのか知らないが、100年に1度あるかないかの対ロシアでのいろいろなビジネスチャンスが見えている今、秋田県や秋銀、北都銀あたりも一緒になって対岸のロシアと付き合うといった将来への布石に全くコミットしないのは秋田県のやる気のない役人根性や負け犬根性を象徴しているように筆者には映る。
少し、沿海州に拠点のあるロシア人脈を紹介してあげたら役に立つのかな・・・。


queen_the_game今日の一曲(しばらく”泣ける曲”)
1980
Queen “Save Me”(Album: The Game)
2008年からF1グランプリの中継でもBGMとして使われていたが、1980年のアルバムではなかなか人気があったと思う。ブライアンのギターが良い。歌詞は・・・、まあ失恋の唄。


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極東ボストチヌイ港へのJBIC融資 への4件のフィードバック

  1. ブルーベリー より:

    地銀7つ(秋田銀行、山形銀行、山口FG、西日本シティ銀行、広島銀行、十六銀行、山陰合同銀行) が1億円ずつ出資し、2016年3月に共同で資産運用会社オールニッポン・アセットマネジメントを設立。
    代表取締役社長には元財務省関税局長の竹内洋氏が就任。

    この資産運用会社は、合併・統合の地ならしをする受け皿とみなされている。
    オーバーバンキングの東北からは秋田銀行、山形銀行の2行が参加。 
    http://news.livedoor.com/article/detail/11399330/

    地銀は、終活で忙しいようです。
    特に、 「銀行消滅危機リスト1位」 の秋田銀行とは、どこも統合したくないから、
    お上に強制的に決めて貰うしかないでしょうね。
    20年後に秋田県の自治体が機能しているかは、大いに疑問ですが。

  2. TPP参加は強行採決と言って問題になった議員がいましたが、一部の怪しげな噂(ユーチューブで見たが、場所はわからないので紹介できません。すみません。)では、TPP参加決定でアメリカ・オバマに恩を売り、そのかわり独自ロシア外交の許しを得た、というものがありました。
    ロシアに投資する銀行に日本から融資なんてことが実はあったりして。(完全な私の妄想です。)

    外国では阿倍外交がどのように報道されているのか、英語の苦手な私は気になってます。
    日本では、マスコミにある種のバイアスがかかっている感じがするので。

    • argusakita より:

      >外国では阿倍外交がどのように報道されているのか

      大雑把に言えば、安倍首相に限らず日本の外交はバラ撒きによる懐柔策しか持たないという見方が定着していると思います。
      あとは、人権に関しては完全に二枚舌というのが一般的でしょう。
      ISを非難してもサウジを非難することはありませんし、トルコやインドの人権問題は日本のマスコミは一切報道しません。ウイグルやチベットも同様では?

      軍事力の裏付け、実行力の無い国はいくら声を大きくしても残念ながら利用されることはあっても頼られることはないでしょう。

      • >大雑把に言えば、安倍首相に限らず日本の外交はバラ撒きによる懐柔策しか持たないという見方が定着していると思います。

        糸を売って縄を買ったと言われた沖縄返還の頃から、進歩がないのかもしれませんね。残念ながら。

        生前退位が囁かれ、平成終了のカウントダウンが始まるかもしれないこの時期になっても外交は二流のままですか。

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