秋田のジレンマ

秋田の知人とある件でSkypeで話をしていたら、いつの間にか四方山話になってしまい、殿様や行灯の再出馬といった愚痴も出てきて、相変わらずだなぁと笑っていたが、それらの能無し首長の連投でそれなりの既得権益を甘受している連中はそれなりに支持するだろうし、老害ポピュリズムは結果的に若者排除で若者は県外に出ていき、さらにそのポピュリズムが変化を起こさせない力になるだろうから、変わりようがない。今後9年程で日本は大きく変わるはずだが、その前に今後4,5年で秋田に限らず地方は悲惨な状態になることがわかっていても動きようが無いのだろう。本当にそれでいいのか?

10月に帰国した際に秋田にもちょっと行ったが、その前は8月に1週間。久しぶりに竿燈も観たが、客足がだいぶ少なくなってきた印象があった。その割には警備や交通整理が過剰。
後で聞いた話でも、やっと知名度が上がったかと思える8月終わりの大曲の花火も観客が減少しているそうだし(実数は知らない)、そもそも競技大会という大会参加の花火師達が少なくなってきて、20年程前は30社余りの競技会だったが今は半数程だという。
確かに20年程前は大会が終わるのは10時、11時だったような記憶があるが、今は8時台の大会提供花火で終了だそうで、規模が縮小しているらしい。その代わりなのかどうか知らないが、毎月花火を打ち上げる小出しのイベントがあるらしい。全国に『花火の町』を標榜する町はいくつあるか知らないが、大仙市(大曲)が今更それを売りにしようとしているのはどこか周回遅れが甚だしく痛々しく見える。

竿燈もそうだが知名度がようやく高まった今、人気低下、規模縮小ではどうにも目が当てられない。どこかからようやく音頭を取る掛け声がかかって、自治体や観光協会といった取り組みがケツに火がついてからで時既に遅しだったのかもしれない。こういった行政サイドの後手後手は珍しいことではないが、民間もそのペースに合わせてやっているから全体的に度し難い状況のようで、これは秋田県全体に言えることなのかもしれない。中にはやる気のある若手などもいるのだろうが、それらの個々の声が老害で消されたり、拡大しないのは単純に人口の年齢構成によるものだけでもなさそうだ。
花火に関しては、東京から見ると隅田川や板橋は別として大曲よりも静岡の袋井や茨城の土浦、新潟の長岡や片貝のほうが知名度が高い印象なのは交通の便だけを考えてもやむを得ないが、それぞれ特色を打ち出すべく工夫をしているからだろう。

時系列が前後するが、8月に2か月ぶりに秋田に行って市内を車で動いていたが、駅前ではJR支社の建設が進んでいたものの、やはり街全体としては衰退している印象が強かった。
楢山や保戸野あたりの古くからの住宅地は相続税が払えず物納になったのか空き地やそれを利用したコインパーキングが以前よりも目立つ印象。ひょっとして秋田市は車の数より虫食い状態の空き地利用の駐車場のキャパのほうが大きいのではないか?
土地もタダ同然に安いので固定資産税を稼ぐ程度を期待してコインパーキングなのだろうが、不動産の流動化が起きないのでは司法書士あたりもヒマだろうと推察。

泉のあたりは区画整備や道路もまあまあだが、仁井田や手形西谷地や広面のような比較的新しい郊外の住宅地は昔の農地が個別に無秩序に民間開発された結果、道路は狭いし、行き止まりがあったりで虫食い状態。典型的なスプロール化だ。
聞いたところでは、手形西谷地の住宅地の一区画が秋田県で最も土地価格が高い(とは言っても20年以上連続下落が秋田の土地価格)そうだが、元々は湿地帯で地震の際の液状化のリスクはあるだろうし、主要道路との接続性なども良好とは言えないような場所が何故高価なのか不思議で、不動産鑑定士というのは何を見ているのか素人にはわかりにくい。
おそらく他が下落して価格を維持できたところが相対的に『最高価格』となったということだろう。

一旦スプロール化した住宅地というのは、元々の農地の土地形にあった狭い道路などが出来上がっていることや、地権の細分化によって利害の対立が起き、区画整理や新規の道路建設などは至難の業となる。ましてや地価の下落によって資産価値も低下し、私有財産の減損には敏感になるだろうし、行政側にとっても固定資産税の減収などもあり開発の原資に影響を与える。
筆者の知る範囲でも、手形山崎の交差点付近や楢山の愛宕下橋などは構想がいつ始まったのか覚えていないが、開通までに軽く30年はかかっている気がする。
30年前なら秋田市も秋田県も多少は体力があっただろうからさっさと造りたかっただろうし予算もあっただろうが、現在のように自治体独自の裁量で投資的に使える予算が一般会計予算の15%も無いのでは計画すら立てられないだろうし、細分化され、土地取引の旨みに過剰な期待をする地権者との折衝が容易ではないだろう。

街の中もあの『なかいち』では様々なイベントが開催されているようだが、10月に久々に寄ってみたときにもとにかく人が少なく『賑わい』とはかなりかけ離れている印象だった。土日は賑わうのだろうか?
一部若手経営者たちを中心にクラウドファンディングも利用して9月に『千秋花火』という単発のイベントが行われたようだが、果たして今後育っていくイベントなのだろうか。
一般から金を集めて行う花火大会は新潟の片貝が有名(一発一発提供個人名や希望の一言をアナウンスして添える打ち上げ)だが、同じことを都市部で行うのは困難にしても、飲み食いの場所を設置し何となくありきたりの花火を打ち上げるのを眺めるだけのイベントでは芸が無い。
(もし、それでも結構な人が集まるのであれば、それだけ秋田市の住民は単純なイベントにすら餓えているということだろう)

いつ出来たのか知らないが、南通り傍に相当に古いビル(耐震性は大丈夫か?)を利用したビアパブ(?)のようなものが出来ていて日中はパンやソフトクリームなどもあるそうだ。
相方の話ではどうも常連向けの店らしく、ビールやパンやソフトクリームそのものではなく、おそらく何となく若者が集まる『空間』が売りなのだろうが、いかんせん周囲は何も無く『点』である。パンやソフトクリームは『え、値段ついてるの?』というレベルだそうだ。
なかいちなども(行政主導の)『点』であり、各種イベントもどこか『点』で不連続さや継続性の不確かさが漂い、将来性を感じさせない。

それぞれの飲食店やイベントの主体や責任者の『思い』はわからないでもないが、そういった『点』を繰り返しても『線』や『面』にはならない。
結局、従来から言い尽くされているように秋田に足りないものはそれらの点を地理的にも時間的にも集中させるプロデュースする力なのだが、県民性かどうか知らないものの秋田人は秋田礼賛の声は大事にするものの耳の痛いダメ出しは聞き入れない頑固さがあるようだ。少しは秋田についての県外からの声に耳を傾けるべきだろうに、何か言われると『バカにすんな』と議論を終わらせる人も多い。

県や市といった行政や商業組合的な既存の組織はプロデュースする力が無いことは『なかいち』で十分証明されたと考えても良さそうで、行政の懐も寒いことから、やはり特定の街区と期間を対象にしたソーシャルインパクトボンド(SBI)のようなスキームが必要なのではないか。PFIのようなスキームではその主体になる企業等の資本力が問題だが、秋田に投資する企業等は少なくとも地元には無さそうだ。SBI等について秋田出身の県外在住の富裕層はどう考えているだろう。
特定の街区とは飲食店の集中だったり、様々な趣味の店だったり、スポーツ関連に特化したものだったり、子供中心だったり・・・。往々にして医療や福祉の拠点も考えがちだが、年寄り中心の医療や介護で『街の賑わい』は期待できない。

多少ダメ出しをしたついでに秋田で感じることを。
秋田には美味しい素材は沢山あるのだが、秋田でなければ食べられないおいしい料理が無い、あるいは、おいしい料理を食べさせてくれる店が少ない。昔は、結構美味いメニューを持っていた店が、今はロスを抑える目的かやや値の張る弁当だけに切り替えたといった事例もある。
秋田市のど真ん中のステーキハウスを標榜する店で、秋田牛のステーキが事前に予約しないと味わえないというのはあまりに滑稽なことではないのか? 話題の秋田牛はどこに行った? イチゲンさんの観光客は秋田牛のステーキは食べられないようだ。
わざわざ秋田に行かなくても秋田で食べられるものはほとんど東京で事足りる。食べ物に限らず、そんな非常にプリミティブな視点が秋田には欠けていると感じる。
beefmeat写真(秋田牛ではないが)のような秋田牛の肉がそこここで地元ならではの価格で買えるような状態にならなければ生産者もボリュームを確保できずにジリ貧になるのは目に見えている。
また、秋田県は蕎麦の出荷量で全国4位のはずだが、秋田市やその周辺で蕎麦粉をほとんど売っていない。秋田市内では市民市場ですら入手できず、御所野のアマノでどこの産地のものでいつのものかもわからない怪しげな安い蕎麦粉が唯一入手可能だった。地元で食べない(食べられない)ものを県外で販売して稼ぐという時代錯誤な商売がまだ普通のようである。おいしい素材があるなら、地元でおいしく食べたらいいのだ。そのうち口コミで県外に伝わる。

例えば、秋田の大自然でキャンプしながら秋田牛のBBQを楽しみ、蕎麦打ちに挑戦といった『モノよりコト』重視の現代の観光客を受け入れる素地が無い。
自然や祭りを漫然と見て、つまらない土産品を買って帰ってくれといった旧態依然の観光業全般の姿勢・空気ではジリ貧なのは当たり前。リピータが増えるはずがない。
観光に限らず、街の衰退と原因や対処に十分気付いている人も少なくないはずなのだが、それらが『点』に過ぎず、残念ながらそこに秋田のジレンマがある。


fleetwoodmac-fantastic-mac今日の一曲
1975
Fleetwood Mac “Landslide”
メンバーが随分と変遷し、時代ごとにスタイルが変わってきた息の長いイギリスのロックグループ。高校時代に初めてバンド名を聞いたときに”フリーとウッドマック”だと思っていたのが懐かしい。歌詞は女性向けだろうか、泣けるはずである。


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秋田のジレンマ への2件のフィードバック

  1. 田舎の独身 より:

    観光の件ですが、今年の春から秋にかけて主に週末を使って県内の31カ所ある道の駅を全部回りました。
    管理人さんがいう「つまらない土産」確かに多いですね。近くに漁港なんて無いのに海苔や魚介類やらもどこか変。
    もう少し特色あるものを売ってくれたらいいのにと思いますが、確かに品数が揃わないと逆に寂しくなるかもしれませんね。
    反対に過剰だと思うのは秋田空港。似たようなものがゴロゴロ。酒は限られた蔵元だけだし、ハタハタ類の加工品、お菓子なんて見ていると買っている人はいません。
    数ありゃいいとは思えませんね。

    ところで、道の駅は男鹿市と仙北市にはありません。最もありそうな地域ですが、おそらく男鹿は入道崎のアソコ、仙北市は田沢湖のアソコがあるから作らせなかったのでしょう。
    競争しないから、いつまでも「昭和」状態。

    31の道の駅でダントツにお薦めは「象潟」です。以前はさほどではなかったものの、にかほ市の観光協会の肝いりで食事、物販も増えてネイガーの自販機もあります。
    温泉もありますし、県内でここは現状一番でしょう。(関係者ではありません)

    • argusakita より:

      男鹿市と仙北市に無いというのは気づきませんでした。
      象潟ですか、高速っぽい道も通じたでしょうから、今度秋田に行ったときに行ってみます。
      情報、ありがとうございました。

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