『福島税』にも目を瞑れというのが現在の日本

sekou9日に経産省が示した試算では福島原発事故の賠償費用の一部(2兆4千億円)や廃炉費用、除染費用、中間貯蔵施設が大幅な増大となり、総額は21.5兆円となるそうだ。
しかも賠償費用の一部(2兆4千億円)については原発事故の保険料を制度上の不備で取り損ねていたとして、過去にさかのぼって回収することになり、その1割の2400億円を新電力に求めることになったとされる。40年かけて賄う場合、標準的な家庭で月平均18円の負担増となるそうだ。この試算通り進むのかどうかは不明だが、賠償費用の先に住居や仕事を突然失った被害者達の顔が見えるため、誰もストレートな文句のつけようが無い。
しかし、これはもう目的税であり、
福島税
と呼んでもいいようなものだ。

もし、日本がロシアのような強権政治の国であれば、事故から5年以上経った今、さっさとチェルノブイリのように半径30km立入禁止区域にして国家管理して、賠償も除染も区切りをつけるまでいかずとも福島第一周辺の汚染状況に合わせて立入禁止区域を設定して『損切り』を行うだろうが、幸か不幸かそういった国ではないことと国民感情あるいは国柄によって、少なくとも表面上は法治国家・民主的手続き・情治主義でコトを進めている。
しかし、この21.5兆円が例えば10年後に倍増している可能性を否定も出来ないばかりか、除染や廃炉についても先の見えないものに向かっていることは現状間違いなさそうだ。
賽の河原の石積みに近い物を感じるが、それらが巡り巡って日々の生活の電気代に”福島税”として乗っかってくるのは民主主義社会の広義のコストなのだろうか。

しかしながら、乱暴な数字で言えば、税収が約50兆円しかない日本で27兆円が公務員の人件費で消えているわけで、消費税1%分≒公務員の人件費の10%であることを考えれば、国の施策としてきてやってきた原発でもあり、責任は国が取るべき部分が多く、国として福島をどうにかするのなら、公務員の人件費10%減を10年間継続してもいいはずで、国民全体がツケを払う構図はどこか国民感情とは乖離している。

OPECと非OPECの減産が15年ぶりに合意にこぎ着け、月曜から原油先物などの値上がりが期待されているが、年末はアメリカなどでは税金対策として在庫放出をすることやシェールによる供給といった値下げ圧力もあるだろうから、いきなり棒上げになるとは限らないだろう。
一時、原発事故直後は急遽原発停止によって原油や天然ガスのスポット的な購入をせざるを得なかった日本も現在は通常の長期購入の契約に落ち着いてきているようで、例えばドバイ原油価格なども27円/リットル程度で推移している。この水準は2004年~2005年あたり、あるいは1985~1986年あたりの水準で、リーマンショックも福島原発事故も無かったかのような状況である。リンクしている天然ガスも円ベースで大体2004~2006年あたりの水準である。

つまり、エネルギー価格によるコストプッシュインフレは、急激なノイズは別としても中長期的には起きにくい状態が現在の日本のはずである。
原発が稼働していてもほとんど稼働していなくとも実はエネルギー価格によるコストプッシュは大きな影響ではない。事故後の緊急輸入時は別としても海外所得+貿易で黒字を続けている日本が、絶対に破綻しないと言っても過言ではない電力会社がある限り、安定したエネルギー輸入国として世界のお得意様なのである。
となると、総括原価方式で電力会社と経産省が一体となって過去30年程で溜め込んできた莫大な黒字はどこに行ったのかというのが非常に大きな疑問である。

確かに、東電の株価は事故前から約1/8、東北電力は約半額、関西電力は約1/3程度に下落した。東電は半ば国有化され、東電のために国債を発行していることもあり、これ以上の下落はあり得ないだろうとされている。国民感情としては、東電の資産を全部売却し、ゼロになってから・・・話はそこからだろうと思う向きも多そうだが、東電のトップはおろか監督省庁の官僚等誰一人刑事訴追されない日本では東電破綻はあり得ないと見るのが妥当だろう。

株価の維持は、安倍政権の象徴の一つでもあり、GPIFによる年金運用を考慮しても株価の大幅な下落は許されないのが日本の状況である。株価による運用部分は全体から見た場合にはさほど大きくはないため、馬鹿野党が騒ぐほどではないが、少なくとも2025年の年金問題を迎える前の現在は最低でも現状維持以上が必要のはずである。やり直しは効かない。
年金運用のために政府のフロント企業とも言うべき日本マスタートラスト信託銀行と日本トラスティ・サービス信託銀行が上場企業の半数近くで筆頭株主になり、建前上は将来のけん引役となりそうな企業をターゲットにしているという但し書き付きで日銀もETF購入を続けている。
東芝が粉飾をしようが、キヤノンが独禁法を逸脱しても、東証も金融庁も地検特捜もまともに動かない(ついでにマスコミも追及しない)のは全て株価維持の目的に適っていると見える。

株価というのは本来はその企業の活動や損益実績等に対して妥当な値が付くものであるはずだが、現在は上記の各種事情により、それらとは乖離したものになってきている。
人よりクマのほうが多そうな田舎の特区で無雪期の直線道路でわずかに400m無人運転バスの実演をして見せればDeNAの株価が上がる・・・技術的には屁のツッパリにもならない実験なのだが、その噂や妄想の材料が独り歩きして株価が影響を受けるのがゲームであり、17世紀のオランダ東インド会社以来の株式会社の理念とは大きく異なったものになっている。

単線的システム段階で既に製造から金融サービスに進んでしまった日本は、今後はこういった目先のゲームの繰り返しで国自体が株価維持を進めていかなければいけないのは間違いないが、そこに何らかの全体的な欠損が生じた場合は国民一人一人がそのツケを担うことになる。国民にオプションは全くない。(日本脱出くらいか)
福島税は強いて言えばその準備のようなものだが、そんな『経済大国』日本にどんな未来があるのかを考えると非常に危ういものを感じるではないか。
成長戦略(筆者はスクラップ・アンド・ビルドだと思っているが)を早急に進めないと、日本はジリ貧で三流国、四流国に転落していきそうな気がする。

筆者はその打開策は回り道かもしれないが、やはり『教育』だろうと確信している。若い人たちの『教育』こそが2025年以降の日本を救うのではないか? 我々年寄りはそこに向けて何が出来るか考えるべきだろう。

PS. 体調のせいか、少々悲観的(^^)


andra-day-xmas今日の一曲
2012(2013?)
大人向けのちょっとかっこいいクリスマスソング。今年2016年もこれをフィーチャーしたアルバム(Merry Christmas from Andra Day)が出ている。
スティービー・ワンダーも大ファンというアンドラは、今絶好調のジャズシンガーの一人だ。


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『福島税』にも目を瞑れというのが現在の日本 への2件のフィードバック

  1. まったく仰せのとおり。

    個人的には、
    電気事業連合会という組織があったはずで、テレビ番組スポンサーをやってるくらいなら、まずはこの連合会からお金を出させるべきではないかと考えます。
    普通の企業なら、こんな大事故を起こした場合、会社の内部留保を吐き出し、大企業だったら、一部の事業を売却したりして賠償等を行うはずです。ですから、テレビでの宣伝に使う金があるなら、賠償にまず使ってくれということです。

    新電力自体、欺瞞の塊と私は思っていますが、(特に売電。個人宅で太陽光発電したのなら、個人宅の電気使用量がその分下げられるのだから、売電制度は無くてもいいし、太陽光発電してない人が売電のために高くなった電気を買うので不公平。)原発と関係ない新電力にまで負担をかぶせるのもまったく不公平。責任は直接関係ない会社にまでは広げるべきではないと考えます。

    • argusakita より:

      私は原発そのものについては日本には絶対必要で、廃棄物処理を含めて広範な原子力関連技術開発を継続して行っていく必要があるため、比較的新しい原発と立地に大きな問題の無いプラントは即再開すべきだと思っています。
      原発ゼロなどという脳内お花畑はアッち行け!というポジションのつもりです。

      ただ、ご指摘の電事連という法人格も無い任意団体が、各電力会社から集めた金を何に使っているかを開示しないこと(イコール自民党への献金なわけですが)や広告主であることでマスコミの批判を受けにくい状況が福島事故後も全く変わっていないところに憤りのようなものを感じます。

      事故後の様々な追及で明らかになった自民党、経産省(天下り)、電力会社の一体の構図を維持する限り、いろいろなツケは国民に薄く広く税金あるいはそれに準じる形で押し付けられる。これは、そう簡単には変わらない、日本的システムかつ大きな闇という印象が強いのです。
      すったもんだで始まった新電力を支えるFIT制もあと数年でどんどん破綻する運命でしょうし。(ドイツやスペインの挫折から何も学んでいない)

      例え、株価維持以上が至上の命題だとしても、この三位一体の構造でなくともそれは可能なはずですが、変革に対して大きなブレーキが存在するのでしょうね。

      献金団体を潰すか、自民党を潰すかしないと日本は変わりませんが、自民党を潰してもその代替となるまともな野党が全く存在しない現在は、とりあえず自民党に頑張ってもらうしかない。この情けない結論がジワジワと日本を衰退させていっているように私には見えます。

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