秋田県の第三セクター、公社

知事選のたびに公約に盛り込まれるかどうかを個人的に注目している点がある。それは、県の出捐(出資その他)を受ける第三セクターの扱いに関してである。
秋田県の場合、県知事が関与する知事所管公益法人はH28年4月1日現在、
一般社団 71
公益社団 43
一般財団 30
公益財団 30
の合計174法人あるが、この4種類の違いをサクッと答えられる一般の人はまずいないだろう。
業界団体や私的育英会組織や福祉団体なども含めてあれこれあるが、何故そんなものまで県が指導監督しなければならないのか不思議に思うものも多い。(天下りのため法律でそう決まっているのだろう)
また、第三セクター(県の出資等の比率が25%以上の法人)32法人もこれらの中に含まれるが、多くが累積赤字に苦しみ、見かけは黒字であっても県からの補助金めいたものをもらわなければやっていけないものが大部分で、必要性や将来性の点でどう扱うかは知事としても明確な展望を持つべきものである。

公益法人の法改正後に秋田県も総務部が第三セクターの見直しを行っているが、その評価等については所管する部課の天下り先という視点があるため当然ながら甘くお手盛りであることは否めない。
評価によって、一応、指導監督の区分を『統廃合』『県関与の縮小・廃止』及び『県関与の継続』の3つに分けてはいるものの、積極的に県の関与を少なくする方向は(当然ながら)ほとんど感じられない。
そもそも、自分たちの天下り先削減や監督・指導の旨みを自ら捨てる役人などいるはずがないわけで、評価をするなら完全に民間のシンクタンクにでもさせたら良いが、そんなことは絶対に行わないだろう。

検証・評価において、かつて流行ったTQC活動の定番であるPDCAサイクルに基づいて実施しているようだが、これも実に形式的なものである。本当のPDCAサイクルとは、最初にC(チェック)から始めてCAPDの順で行うべきものであって、過去・過年度の問題点の洗い出しから始めなければならないが、まずP(プラン)という果てしなく呑気で前向きな姿勢が役人の信条(身上)なのだろう。
これは、役人というのは過去を振り返らない、決して過去から学習しない、前進あるのみというお約束があるためで、これはあたかも戦国時代の武士の『あくまでも前進のみ。後退はしない』という意味で兜にトンボやムカデ(これらは後退しない生き物)を象徴的に用いたのと同様だ。だからといって地方公務員がゲジゲジのようなものとは言うつもりはないが(^^)。

akita-pref-3sect第三セクターの見直しを行った一覧は図のようなものだが、筆者が特に注目しているのは5つの公社だ。即ち、
・秋田県総合公社
・秋田県食肉流通公社
・秋田県農業公社
・秋田県林業公社
・秋田県土地開発公社
このうち、総合公社と食肉流通公社は既に県が関与の縮小・廃止を決めているが、残りの3つは関与の継続が妥当とされている。納税者目線では『妥当』って何だ? 必要か不要の二択だろうに。
はっきり言えば、この3つは秋田県のアンタッチャブル領域と言えないこともない。故に県知事選で公約に盛り込もうものならなかなか騒がしくなることは間違いない領域である。

農業公社と土地開発公社は簡単に言えば既に役割は終えていて、その役割を民間に移行しても全く問題のない機能しかないのは誰でもわかることだ。
林業公社は現在の長期計画が平成85年度(2073年度)までとなっていて、秋田県が存在しているかどうかも不明な遠い未来までのタイムカプセル状態だ。しかも累積債務は400億以上となっていて、債務解消の道筋などあって無いがごときだ。
かつて住宅供給公社というものがあったが、秋田市の南ケ丘ニュータウンなどの分譲住宅地の販売不振により1997年以降単年度赤字が続き、債務超過状態となり『解散』した(させた)。
この『解散』の幕引きも実に怪しげな、責任追及をうまく逃れた茶番だった。

農業公社と土地開発公社の累積債務はその気になれば住宅供給公社のように『解散』させて整理させられるはずだし、農業改革の進行や秋田県の土地価格低迷・取引硬直化を考えれば、例え損切となっても早急に解散(破綻)させるべきである。
問題は林業公社だが、これを解散させた場合にどうなるかについて県側は、
・森林の保全に問題が残る
・土地の地権者に対し契約が不履行となる
という反論をするが、森林環境税の目的などを見るに現在どんな『保全』を行っているのか甚だ疑問であり、400億を超える累積債務解消を目指しているといっても、直近の決算では4,500万の赤字である。また、役員13人、職員18人というのは仕事をするというよりも、債務の管理団体のような体制ではないか。13人の役員のお仕事はなーに?

わかっている人はわかっていることだが、秋田県の林業の最大の問題点は分収造林で、国有林に隣接した林業に不向きな山で林業をしてきたことに問題がある。また、この分収造林と育林について<造林地所有者、造林を行う者、費用負担者の3者またはいずれか2者で分収造林契約を結び、収益は分け合う>という時代錯誤なもの(損は分け合っているか?)に基づいていることが問題だ。林業に不向きな山の地権者は、この分収造林の契約が無くなるとただの二束三文の山になることがわかっているため、地権者はおそらく未来永劫に契約期間延長を希望しているはずだが、この地権者(筆者の認識では県内に約9,000人程)との契約解除を進めたらよいにも拘わらず全くその方向に進まない。これを公約に掲げると選挙の票が少なくとも9,000票動く格好になる・・・これがアンタッチャブルな部分だろう。

また、毎年度の林業関連の予算の大きな部分は林業そのものではなく、伐採・搬出のための道路工事に支出されている。これが削られると秋田の地場産業とも言える土建業も痛手を被るというのが大人の事情(?)でもある。
無論、法的な縛りもあるだろうが、これらの公社の債務を整理するために国鉄方式で債務整理機構的なものを作ればよいわけで、これをある意味機械的に進めるには知事や議会議員の胆力も試されるだろう。そんな危ないモノは俺の代にやりたくない、これが長年の累積債務増大の原因でもある。

ついでに言えば、秋田県の林業関連は実に不透明なものが多い。5年程前の横手市の『秋田スギニカ』の破綻の問題と、その後、東日本大震災の復興に間に合わせるかのような建前で急遽立ち上がった秋田県内最大規模の大型製材工場アスクウッド
本当に大震災の復興という(ある意味)ビジネスチャンスに間に合ったのかどうかも数字的には怪しいし、新しい製材工場とはいっても住宅用構造材などが主力で、相変わらず付加価値の高くない競争力の無いものを生産していて、最近注目を浴びているCLT(Cross Laminated Timber、クロス・ラミネーテッド・ティンバー)といった新国立競技場などで採用が決まっている大型、高層建築に向けた製品などは生産していない。
ほんの数年の差で、将来を見通す目利きが皆無だったのかどうかは知らないが、単純に『秋田杉使ってちょーだい』と相変わらず周回遅れの実態を見せつけられているような感である。
秋田県立大には木材高度研究所などもあり、当然CLTなどの研究もしているはずだが、秋田県の林業や地場産業の大きな転換点・出発点にもなり得るかもしれないタイミングで何も仕事をしていないように見える。これでは存在価値などゼロではないか。
秋田県では闇も大きければ、実学重視の学術的にも無能が集まっているのもこの分野と見える。本当は無能ではないかもしれないが、結果だけ見れば県立大など何の役にも立っていないではないか。

公社を含めた第三セクターの県の関与を小さくすることは県の歳出を減らすことに繋がるはずだ。既に秋田県は一般会計予算の13%程度しか投資的支出に回せない硬直化した財政であり、税収の増える見込みも、国からの交付金が増える見込みもなく(寧ろ交付金減額のスケジュールは示されている)、歳出を減らす以外に持続可能性は無いに等しい。
社会保障や人件費の削減は知事が議会や県庁の役人達をストレートに敵に回すことになるため、橋下徹あたりでないと到底実現できないだろう。殿様では絶対に不可能。
しかし、人口減が加速し、全県的に限界集落状態といっても過言ではない近未来『人がいなくなると仕事が無くなるのは役人達、あなた方なのだよ』と説得しながら、一方では歳出を減らす方策を進めなければ、ますます負のスパイラルが進むことを秋田県も県民も認識しなければならない時期に既に入っている・・・と筆者には思えるのだが。


abba-a-happy-new-year今日の一曲
1980
ABBA “Happy New Year ”
クリスマスが終わると一気に新年を迎えるムードが高まる。日本ではその前に行く年を惜しむ、振り返ることもあるが・・・。
このABBAの曲は欧州では定番中の定番かもしれない。


ブログランキング・にほんブログ村へ 
(blog rankingに参加。ご協力を。Click it!)

広告
カテゴリー: 県政・市政・議会, 秋田を改造 タグ: , , , , , , , , , , , , , , , パーマリンク

秋田県の第三セクター、公社 への3件のフィードバック

  1. ブルーベリー より:

    秋田県南木材高度協同組合・秋田スギニカは、
    「素人の寄せ集め」 だったので機械を上手く使えず、きれいなベニヤ板が作れなかった。 

    結局、秋田スギニカは、13億円の補助金を使い切って倒産しました。
    秋田製材協同組合・アスクウッドも似たような状況になると思います。

    そもそも、秋田の第三センターは上手く行った試しがありません。
    秋田のシロアリは、補助金をどう抜きとって、いつ倒産させるかしか考えていません。

    • 色々考えると、木材はそんなに売れるはずがない。
      保護者が集まって、とある学校のグランドにベンチを作ろうという話が持ち上がったとき、木製でという話はまったく出ませんでした。高い割に日持ちしないからです。鉄製やコンクリ製のほうが日持ちするし安かった。まあ、鉄工所に努めている保護者が空き時間に余っている材料を溶接して持ってきてくれたおかげもありますが。

      大館市では、補助金の関係で木造で作るしかなかった樹海ドームというプロ野球を呼べないドームがありますが、木造にこだわらなければ、プロ野球を呼べる大きさで作れたと思います。狭くなった理由のひとつは強度を持たせるために太い柱にするしか無く、それで面積が削られたという面もありそうです。

      それでも市場に売れるだけしか杉材を出さず、山の中で乾燥中の杉丸太がなんか増えているんじゃないかという気がしてます。ますます値が下がらない。だからまた売れなくなる。

      • ブルーベリー より:

        木質バイオマス発電事業の「兵庫モデル」  燃料製造・発電を一体で
        https://www.kankyo-business.jp/news/013894.php

        木材は注目されていますが、秋田人が手をつければ必ず失敗するでしょう。
        利益が上がってもシロアリが増えるので、立ち行かなくなります。

コメントを残す(短めにどうぞ)

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Google+ フォト

Google+ アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

%s と連携中